2016年3月31日木曜日

衛星ハッキング「ラグランジュ・ミッション」ジェイムズ・L・キャンビアス

ラグランジュ・ミッション (ハヤカワ文庫SF)2030年設定。核融合が実現し、月で採掘したヘリウム3をハッキングした衛星で好きな海域に落として盗むという、衛星ハッキング。久々の軌道上SFで、登場人物はダメダメですが、それを差し引いても読み応えがあります。衛星ベンチャーの活躍もいい味出してます。★★★★

2016年3月30日水曜日

創元SF短編賞受賞作「神々の歩法」宮澤 伊織

神々の歩法 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作『年刊日本SF傑作選 折り紙衛星の伝説』(創元SF文庫版 2015年6月初版発行)に掲載の「神々の歩法」を電子書籍化したもで、Kindle版です。値段も97円。こういった出版方法もあるということで、再読。小説自体は、受賞作だけあって完成度高いです。★★★

2016年3月29日火曜日

中世サマルカンドにバグダット「魔人の地(嵐の王1)」カイ・マイヤー

魔人の地 (嵐の王1) (創元推理文庫)古代のサマルカンドと、バグダット。空飛ぶ絨毯に、魔神の軍団。アラビアンナイトは、シナの話しですが、新しい舞台のファンタジーなのは確か。出だしは好調です、3部作の行方を期待してます。★★★

2016年3月28日月曜日

新書のレベルを超えてます「美術館の舞台裏 魅せる展覧会を作るには」高橋明也

美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書)三菱一号美術館の館長を務める著書が書いた美術館の裏側。教養とか、学術とかいうレベルを超えて、勉強になりました。白金に支店の有る、フランス古美術専門のウイルデンスタイン東京。名古屋ボストン美術館のような有名美術館の支店。ルーブルが出した支店、ルーヴル・アブダビ。ブランドのヴィトンが作った、フォンダシオン ルイ・ヴィトン。こうした新しい美術館と、そうした流れを作った、ビルバオ・グッゲンハイム美術館。美術館に行きたくなる、本当に専門性を持ったレベルの本でした。タイトルで損してる本です。★★★★

2016年3月22日火曜日

明るいのが一番「砂星からの訪問者」小川一水

砂星からの訪問者 (朝日文庫)「臨機巧緻のディープ・ブルー」の続編です。どんどん暗くつまらなくなる「天冥の標」に比べて、話が明るい、にやりとできる。やはり明るいSFが一番です。★★★

2016年3月19日土曜日

海外編「悲亡伝」西尾 維新

悲亡伝 (講談社ノベルス)四国編が終了し、空空達は、二人組に別れて各国へ調査旅行。悲惨な死が続くのかと思えば、今回は幸せな終わり方を見せます。次号は、ついに宇宙への進出らしい。この作者の唯一面白いシリーズなので、頑張って欲しいです。★★★

2016年3月17日木曜日

100話目の特別本「陰陽師 鼻の上人」夢枕 獏

陰陽師 鼻の上人陰陽師100話目を記念しての、特別本。1話収録。芦屋道満が今回は活躍。100話目は、博雅に頑張ってもらいたかったのですが。★★★

2016年3月16日水曜日

ユーモアのある007「アンドロイド夢の羊」ジョン・スコルジー

アンドロイドの夢の羊 ハヤカワ文庫SFP・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」へのオマージュかと思えば、タイトルだけ。中身は、異星人を対象にしたエージェントモノ。知恵と勇気で、異星人相手に大活躍。最後は、美女に、大金を手に入れてニヤリ。テンポよく、手慣れた作品に仕上がってます。★★★

2016年3月14日月曜日

終わってみると普通のファーストコンタクト「異種間通信」ジェニファー・フェナー・ウェルズ

異種間通信 (ハヤカワ文庫SF)結構思弁的に見えるし、イベントも盛り沢山で、読んでいるうちは楽しめるんですが、終わってみると普通のファーストコンタクトものだなと思ってしまう。そんな、作品です。★★

2016年3月11日金曜日

最もわかりやすい帰無仮説までの本「入門 統計学 検定から多変量解析・実験計画法まで」栗原伸一

入門 統計学 −検定から多変量解析・実験計画法まで−実験し、データを集め、統計処理を行い、帰無仮説を行うまでの恐らく最もわかり安い入門書です。良い教科書って少ないですが、文句のつけようがない、素晴らしい本でした。Kindle版を購入しました。この方の講義受けたいです。★★★★★

2016年3月10日木曜日

誰もが思ってる歴史の改造「人魚ノ肉」木下 昌輝

人魚ノ肉新選組を舞台にした連作伝奇小説です。この作者の面白いところは、誰もが思っている歴史上の人物を、ある視線から描き直すことで、思ってもいない人間の姿を見せてくれることだと思います。そういった意味では、描く人物の1人称はあってないのでは。そんな中、祇園祭を持ってきて、京都の街と新選組の関係性を見なおした「血の祭」は、方程式通りの傑作。扇屋の主人公の目を通して、新選組が描き直されます。祇園祭の幕を火事の中取りに戻るシーンは、白眉です。★★★★

2016年3月9日水曜日

ユーモア小説だそうですが面白くない「窓から逃げた100歳老人」ヨナス・ヨナソン

窓から逃げた100歳老人書店で、「国を救った数学少女 」という本を見つけて、まずは1作目の本作を読んでみました。シニカルなユーモア小説という評判でしたが、まるで面白く無い。各国の首脳と会うのが、荒唐無稽といった前提がすでにダメ。人生ナメてます。数学少女に期待します。★★

2016年3月7日月曜日

愛が感じられない「新選組と刀」伊東 成郎

新選組と刀近藤勇の虎徹が本物かどうか、それなりに調べてあるようですが、読んでてまるで面白く無い。マニアックな愛がまるで感じられない、著作をみてみると新選組の本を随分書いてて、ついでに書いたような気がします。刀を主人公にするなら、もう少し愛がほしいです。★

2016年3月3日木曜日

イーガン最低作「ゼンデギ」グレッグ イーガン

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)イーガンでも、失敗作はある。脳マッピングで、人間を人工知能に移そうという黎明期、ゲームのモフを作る技術を使って死後に人格を残そうとする、本屋のオジサン。舞台は、イラン。イランの街も、登場する人物も、ゲームの内容も何一つリアリティがなく、完全に滑ってます。残念です。★

2016年3月2日水曜日

風呂敷広げすぎ「ねじまき男と機械の心 大英帝国蒸気奇譚2」マーク・ホダー

ねじまき男と機械の心〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚2) (創元海外SF叢書)1巻では、タイムトラベルにスチームパンク。今回は、それに加えて、古代文明に、宇宙から飛来した宝石に、先行文明爬虫類族。ロンドンの文明はどんどん進んで、オチもありません。風呂敷広げすぎ、次巻で終了するのか。バートンのリアル歴史も、タイムトラベルで改変されて、無茶苦茶に。大丈夫なのでしょうか?★★