2016年2月29日月曜日

新しい劉邦像「劉邦 上・中・下」宮城谷 昌光

劉邦(下)項羽が劉邦と、一世代違うとか、劉邦の闘いを見て学んだとか、今までの固定概念を打ち壊す記述がいっぱい。項羽の方が、年上ぐらいに感じてました。上巻は、熱い物語でしたが、次第に冷静な記述に落ち着き、最後は劉邦についての雑感が続きます。それを、宮城谷 昌光がやるのですから、これは読まないと。★★★

2016年2月28日日曜日

無茶苦茶な設定「アルファ/オメガ」フランチェスカ・ヘイグ

アルファ/オメガ (ハヤカワ文庫SF)強引で無茶苦茶な設定で、その設定が物語を踏み出すのかと思ったのに、出てくる物語はごく普通。残念な小説でした。★

2016年2月27日土曜日

テルモピュレーは険しかった「ギリシア人の物語 民主政のはじまり」塩野 七生

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり「ローマ」「十字軍」「フリードリッヒ二世」、そして今度は古代ギリシアです。サラミス、モンテピレー、マラトンと伝説の戦闘が続きます。そして、映画「300」にも描かれた「テルモピュレー」の闘い。この間道の地形をGoogleMapでみたんですが、広々とした平野にしか見えません?実は、ローマ時代に広げられたんですね。さすが、ローマ。★★★★

2016年2月25日木曜日

「銃を読み解く23講 見る、読む、訳す GUNの世界」小林宏明

銃を読み解く23講 (見る、読む、訳すGUNの世界) (キイ・ライブラリー)「ローリング・ストーン」誌を始め、ミステリー、映画などでお馴染みの翻訳家が、銃に関しての本を出すというので読みました。映画や小説の銃の話がいっぱい。しかし、正しい銃の知識が読み物になる時代では無くなっている感がします。それでも、「プレデターズ」などの詳細がわかると嬉しいのですが。★★★

2016年2月24日水曜日

22年ぶりの新刊「コロンビア・ゼロ─新・航空宇宙軍史」谷 甲州

コロンビア・ゼロ: 新・航空宇宙軍史22年ぶりの、航空宇宙軍史シリーズ。図書館や実家で探しまくって、カリストや、サラマンダーを読みなおし、ようやく読みました。大正解、しっかり続編です。宇宙人はでてきません、地球人同士の地味な地味な戦闘が復活してます。本当に嬉しいです。★★★★

2016年2月23日火曜日

イワン・スピンオフ「ヴォルコシガン・シリーズ 大尉の盟約」ロイス・マクマスター・ビジョルド

大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)イワンが主役だけあって、明るくいい人ばかりで雰囲気がガラッと変わってます。お陰で、ジャクソン統一惑星があれほど神秘的だったのに好きだらけの普通の人間集団になってしまいました。全体的は、残念。あれほどのクオリテイだったヴォルコシガン・シリーズが、普通の小説になってしまってます。★★★

2016年2月22日月曜日

グラフ理論の世界を知りたい「グラフ理論の魅惑の世界- 巡回セールスマン問題、四色問題、中国人郵便配達問題」アーサー・ベンジャミン, ゲアリー・チャートランド

グラフ理論の魅惑の世界- 巡回セールスマン問題、四色問題、中国人郵便配達問題・・・グラフ理論の体系を知りたい人には、ピッタリかも。「5人の王子の問題」「ケーニヒスベルクの橋問題」「ナイトツアー問題」「四色問題」などをどのように扱うのかが書かれています。しかし、表記が微妙なところが多く、しかも、その結末は何章へとかどんどん後ろに送られて、不信感が募ってきます。それでも、こうした本は他にはないので頑張って読みました。★★★

2016年2月21日日曜日

巨大コピー工場「ゴッホ・オンデマンド 中国のアートとビジネス」W.W.Y.ウォング

ゴッホ・オンデマンド -中国のアートとビジネス-中国・深圳市大芬村。1万人の画家たちが(本当に?)、流れ作業でゴッホのコピーを製作する町工場の集合体。それを後押しする行政府。そんな実態を調査した、学術書です。厚みの10分の1でいいと思うけど、とにかく書き込まれてます。★★

2016年2月20日土曜日

「決戦! 三國志」田中 芳樹、 東郷 隆、天野 純希、吉川 永青、木下 昌輝

決戦!三國志三国志を題材にした連載オムニバス。東郷隆を目当てに読んだのですが、「宇喜多の捨て嫁」の木下 昌輝が抜群に良かった。「宇喜多の捨て嫁」も非常にいい時代小説で、また出せば必ず読む作家リストに、木下 昌輝も加えようと思います。★★★それにしても、ウンベルト・エーコが死んだようです。

数学と物理を駆使して疑問に答える「ホワット・イフ?―野球のボールを光速で投げたらどうなるか」ランドール・マンロー

ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるかNASAでも働いた漫画家が、馬鹿な質問に数学と物理を駆使して答えるという最高の本。しかもクオリティが高い。「そして92番めの子豚は、劣化ウランで家を建てました」人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の光は変わる?お茶を必死にかき回したら沸騰させられるかな?どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?元素周期表を現物の元素のキューブを積んで作ったら何が起こる?くだらない質問でも全力で答えるとここまで面白いとは感動です。久々に、★★★★★

2016年2月17日水曜日

刑事に固執する変人「世界の終わりの七日間」ベン・H・ウィンタース

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)完結の3冊目ですが、ハードボイルドのはずが、小惑星衝突7日前になっても、刑事に固執する描写を読むとただの変人としか思えなくなってきました。ハードボイルドとは、優しさのはずなんですが、真実に固執している。刑事になりたいがなれなかった変人の話になった感があります。残念。★★

2016年2月16日火曜日

物理法則発見の旅「クロックワーク・ロケット」グレッグ・イーガン

クロックワーク・ロケット (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)物理法則が違う別の宇宙で、物理法則を最初から発見し直そう。3部作ですが、すでに相対性理論あたりまできてます。解説の図がいっぱい。とてもついていけません。まずは、1回読んで、暇な時に再挑戦といった難解な本ですが、これぞイーガンのハードSFなので仕方ないです。付き合います。★★★

2016年2月15日月曜日

読んだことないのに全部知っている不思議「資本主義に希望はある 私たちが直視すべき14の課題」フィリップ・コトラー

資本主義に希望はある―――私たちが直視すべき14の課題資本主義の持つ14の欠点。マーケティング4.0、コトラーを読んだことはないのに、全部知っていることが書いてある、それだけコトラーはマーケティングで流行ってあちこちで言及されてきた、ということなのでしょう。どの社会を選ぶのか選択の時期が来ているような気がします。★★★★

2016年2月11日木曜日

ヒューゴー賞他7冠「叛逆航路」アン・レッキー

叛逆航路 (創元SF文庫)デビュー長編で、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、クラーク賞など7冠。確かに、面白い。鉄腕アトムのように、理想的な知能とヒューマニズムを持った存在に、人間が付き合えるのかがテーマに流れていて、それでいて抜群のエンターティンメント。最後もしっかりカタルシスがあって、これで新人とは思えません。★★★★

2016年2月5日金曜日

「滅びの鐘」乾石智子

滅びの鐘戦争とか、難民とか、怒りとか、平和とかかなり頑張ったファンタジーですが、作品としての魅力は第一作「夜の写本師」にはとても及びません。力作とは思いますが、未消化すぎてファンタジーに到達してない。★★★

2016年2月4日木曜日

教養はあるけど生物学的の面白さとはいえません「お皿の上の生物学」小倉明彦

お皿の上の生物学身近なものから、生物学の奥深さを実感できるかと思いましたが、例題は難解で、それでいて深みなし。光の波長とか生物学というより、生理学的な問題に急に変更されたり、読むほうは戸惑うし、中身は面白くないし、ただ教養はひしひしと感じられます。★★

なんかグダグダ「秘密同盟アライアンス2──動き出す野望篇」マーク・フロスト

秘密同盟アライアンス2: 動き出す野望篇 (ハヤカワ文庫SF)同級生や、すぐ近くに住む屋敷の住民が世界的な陰謀を企んでて、それの秘密を解くのに超能力を使う天才たちという、バカバカしさ。中身もグダグダ、これで3冊シリーズとは。★

2016年2月1日月曜日

これぞ歴史の本「大江戸商い白書—数量分析が解き明かす商人の真実」山室恭子

大江戸商い白書――数量分析が解き明かす商人の真実 (講談社選書メチエ)小さな米屋や、炭屋は10年ちょっとで、お店を畳み、次の商売を始めている。1日のお客の数から、収入を調べて、かなり厳しいことがわかるなど。調査を積み重ね、それをデータに歴史を考えている。これこそ、本当の歴史の本なのでは。歴史にも、Excelですね。★★★★

奇妙な味「地球の中心までトンネルを掘る」ケヴィン・ウィルソン

地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション)出版社の紹介文を引用して、「代理祖父母派遣会社で祖母として働く女性、人体自然発火現象で死ぬことを恐れながら弟と暮らす青年、折りヅルを使った奇妙な遺産相続ゲームに挑む一族の男たち、ある日裏庭でトンネルを掘り出した三人の若者」この通りで、奇妙な味の短編がいっぱい。いかにもありそうと思える、日常の不思議な世界。★★★★