2008年1月31日木曜日

イリアム ダン・シモンズ

Irias火星では、ギリシア神話の神々と、アキレス、ヘクトール以下の面々がトロイアの興亡を繰り広げる。木星圏では、人造の知性体が、テラフォーミングが進む火星に探検隊を送り込む。地球ではロボットにかしずかれた人類が、文字を読むことさえ忘れて生存。やがて、本格的な戦争が開始され、その中でプロスペローと、キャリバンが解放される。続編、「オリュンポス」が楽しみです。★★★



2008年1月30日水曜日

楊令伝 3(盤紆の章)北方 謙三

Yourei3戦いがないぶん、物語世界が広がります。楊令は、楊家将の楊業の子孫で、遼にも同じ世代・従兄弟の将軍がいること。しかも、耶律休哥が持っていた剣を受け継いでいます。マニ教の宗教反乱、方臘の乱も発生。中国最大のヒーロー岳飛も登場。たぶん、楊令は彼に倒されるのでは。これからの展開と、正史との関係がどうなるのか楽しみです。★★★



皇居のお堀が凍ってます

Ca330040昨日なんだけど、早朝だったので、凍ってました。日比谷公園に近い所。丸の内近くは、凍ってません。鳥たちが困ってました。



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2008年1月24日木曜日

ネバーウェア ニール・ゲイマン

Neverwhereサンドマンの作者ゲイマンらしい、ダークファンタジーです。ロンドンには、地下ロンドンというもう1つのロンドンがあり、上のロンドンの住人は下のロンドンの住人に気がつかない。存在しない人となった、証券マンが地下ロンドンで暴力に囲まれながら冒険の旅にでます。地下には地下だけに通じる、仁義や鉄則があり、人は簡単に死んだり、消えたりします。自分という存在が、社会の中や、自身の中で簡単に意味が無くなり、存在が脅かされる状況を、ファンタジーというが見事に捉えてます。★★★★



2008年1月20日日曜日

両毛線&宇都宮制覇

Ca330035青春18切符の最後として、近場で両毛線乗ってみました。いつものように、早朝4:30御茶ノ水を出発。高崎経由で、両毛線です。途中、桐生、足利で降りてみたのですが、とにかく寒い。都内とはまるで違います。頭が痛いぐらい寒いんです。うどん街道という話しだったので、うどんを食べに行こうと思ったのですが、寒くて駅舎からでれませんでした。しかたがないので、宇都宮まで行って、餃子食べてきました。まだ、11時だったので、駅の中にある、餃子小路の中です。いっぱい人が入っていた、宇都宮夢餃子というお店。中ビールに、餃子1皿、ザーサイ付きで840円。昼前なのに、他のテーブルの人たちもビール飲んでました。秋葉原まで帰って、スーパーによって食品の買い出し。とりあえず、コンパクト旅でした。



2008年1月17日木曜日

残虐行為記録保管所 チャールズ・ストロス

Kurahutoイギリス秘密情報部の実行部隊と、ラグクラフトと、数学的な解析により異世界への門が開かれるという、3つの要素を混ぜ合わせると、この本に収録された2作品になります。作者もまったく同じ設定の小説や、ゲームが存在していることを後書きで書いてますが、最近、この手のものが多いです。強い人間主義で、平行宇宙の存在に新しい意味をつけることが可能になったせいでしょうか。昔のパラレルワールドものと筋書きはそっっくりなのに、まったく別の世界観が発生しているのは、物理学や数学の進歩に加えて、世界観が変わってきたことが影響しているのかもしれません。内容は、アニメ「鋼鉄の錬金術師」と同じで、ナチスのトゥーレ協会が行った、ヴァンゼー降霊がテーマになっていて、チューリングによって編み出された解析学によって、他の宇宙との窓が開かれるという話しです。主人公は、パームトップコンピュータの解析能力と、栄光の手(死人の左手で作ったオカルト装置)などを駆使して異世界の存在と闘います。★★★★



2008年1月16日水曜日

リ・ジェネシス -感染- 東野 司

Saikinn東野 司ということで、日本オリジナルなんでしょうか?内容は、TVドラマと完全に同じで、テレビを見た人がノベライズで別な見方や感動を受ける心配はまるでありません。完全に意味のないノベライズ。★



5Kg減量おめでとう!!!

飲み会以外で、外で食べ物を食べないを、実践。途中、1ヶ月余り名古屋にいましたが、半年で5Kg減量できました。8月からの目標です。次は、7月。もう5Kg減量できれば、学生時代のベストです。かがむとき、地面がかなり近くなりました。



2008年1月15日火曜日

完璧な赤「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語 エイミー・B・グリーンフィールド

Aka料理などにも使われる、天然染料コチニールを巡るノンフェクションです。コチニールは、カイガラムシ科の昆虫から得られるもので、元々、メキシコで生産されていたものをスペインが再発見、ヨーロッパに紹介して、衣料染料として使われ始めます。この秘密を巡ってといったキャッチフレーズが表紙には書かれていますが、実際の表記はほんのちょっと。007を期待していると裏切られます。しかし、赤色の服装が秘めていた価値観の意味、それを巡る技術の進展、科学の歴史を中心に十分な取材が行われています。こちらのほうを楽しみましょう。★★★



青春18切符で、新潟まで行ってきました

Ca330025本を片手に、青春18切符で新潟まで行ってきました。早朝4時30分に御茶ノ水を出発。秋葉原、上野、宇都宮経由で、7時47分には黒磯到着。ここから、磐越西線に入ります。猪苗代辺りで、急に雪の山。凄いと驚いていたら、会津若松では雪もなくなり、新潟に着いた頃には、日差しが暑いぐらいです。13時36分新潟着。おでんを食べて、「まさかいくらなんでも寿司」という駅弁を購入。これ、カニやいくら満載です。帰りは、東北本線ではなく、上越線で高岡、水上、高崎経由で上野に到着。21時になってました。越後湯沢辺りは、またもや大雪で、たっぷり雪を見てきました。



2008年1月13日日曜日

密教的生活のすすめ 正木晃

Mikyouユーミンの「すべてのことはメッセイージ」という歌詞こそ、密教の教えという話しで始まります。チベット密教の修行方法の紹介。曼荼羅絵のすすめなど、わかりやすく、身近で、しかも、非常に精神的。かなりの力量がないとこういう本は書けないと思います。密教ってよくわからないと思った方、新書版ってこういう本がたまに出るのが魅力です。★★★★



日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか 内山節

Kituneこれ、完全な哲学書です。いい質問は、いい回答を産むはずなのですが、せっかくのいい質問も、この内容では幻滅です。中身がとにかくない、がっかりです。★



2008年1月12日土曜日

原 聖先生に会う

Keruto「ケルトの水脈」、「脱帝国と多言語化社会のゆくえ」などを書かれている、原聖先生に、昨日女子美術大学のパーティでお会いしました。アイルランド好き、「神秘の薔薇」のイエイツ大好きな、ぼくには大変なことです。名刺をいただいて、研究室に遊びに行ってもいいそうです。やったー



2008年1月11日金曜日

3D立体テレビ

Ca330009BS11で3D立体放送が始まってます。
http://www.bs11.jp/?action_public_pgm_detail=true&cid=1&pid=28
昨日、新宿のビックカメラ3階に行って20分ばかり見てきました。周りの人も、おおー とか、すごい とか言ってて好評です。でも、眼鏡を掛けてまで、見る人はあまりいないので、空いてました。番組内容が、きれいな自然といったものだけなので、内容は今ひとつ。胸の大きな女のこの立体映像だと人集まるのに。
立体感は、かなりのものです。



2008年1月10日木曜日

アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットヘ C・スコット・リトルトン、リンダ・A・マルカー

Asasaアーサー王伝説の起源をケルト人よりも遡ろうとする、意欲作です。アーサー王伝説は、3つの起源を保っている。ひとつは、古代カスピ海沿岸、コーカサス地方に住んでいた、スキタイ系民族のオセット人が伝えるナルト叙事詩。これ、アニメのナルトとは違いますよ。2つめは、実在したローマ軍団長で、アーサーの元になった人物。3つめは、北ブリテンに移住したローマの外人部隊サルマティア人の伝説。これが混じり合って、現在のケルト系の伝説となったそうです。
しかし、逐語訳の論文はまったく日本語になってなくて、読みにくいこと限りありません。ナルト叙事詩なども、いきなり登場し、それがどういったものかは、説明なし。知ってて当たり前ということか?とりぜず、後書きでおおよそをつかんで、その後前に戻って読むことをお勧めします。★★★



2008年1月9日水曜日

ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く リサ・ランドール

Risaワープできるよという本ではありません。まじめな量子力学の標準モデルに、ブレーンという概念を持ち込んで、ひも理論や、M理論との間を結ぼうという一般解説書です。ようやく翻訳がでたというところですが、翻訳は素晴らしいです。こういう理系の本は、翻訳が酷いものが多いのですが、これは別格。
でも、18章ぐらいから、かなり難しくなってきて、2枚のブレーンの間の距離が問題になるという当たりからついて行けなくなりました。しかし、LHCが稼働するとこんな実験ができるという、各種実験を紹介していて、その可能性を読むだけでも十分に面白いです。★★★★



2008年1月1日火曜日

さよなら僕の夏 レイ・ブラッドベリ

Bye30数年前に出版された「たんぽぽのお酒」の続編です。登場人物も、街も同じ。ただ、1年ほどたった古いアメリカ。しかし、たんぽぽの魔法のような気分は消えて無くなり、言葉も不思議さを失いました。ケーキや、クリームや、チョコは、小説では彼らを魅了しますが、読み手にはただの物質です。何かが小説から失われてしまったのは、決してテーマのせいではないような気がします。★★★



今更ですが、脳内メーカー

知り合いから送られてきました。

明けましておめでとうございます

今年も恒例、昨年1年間読んだ本の中から、何冊かご紹介したいと思います。
昨年、読んだ本は、235冊。社会人としては、まずまずの冊数でした。



今年は、ノンフェクションに当たりが多く、これは一昨年の「不都合な真実」のバカ売れの影響でしょうか。
まず、1冊目は、
★「アルジャジーラとメディアの壁」石田英敬、中山智香子、西谷修、港千尋
これは社会学者が数人集まって、アルジャジーラ見学に行こうという、いい加減な動機で行ってしまい、その感想を集めた本なのですが、そこは天才、西谷修です。彼の章だけが、飛び抜けて素晴らしい。その中でも、「アルジャジーラはいかなる意味でもドメスティックではなく、ローカルであることによってグローバルな意味をもち」という言葉が忘れられません。



他にも、
★「あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実」ピエトラ・リボリ
99年のシアトル、WTOの総会に対してデモを行う女子学生を見た著者は、資本主義を攻撃するプラカードに、あなたがもう少し勉強して真実を知る力があれば、そんなことはやめるでしょうというリベラルな感想を持ちますが、実際に自分で調べて行くに従い、実は彼女が正しかったことを、著者が発見していきます。多くのグローバル企業が市場原理に従っているのではなく、市場原理を政治的に抑制・回避することを原則として発展していることを教えてくれます。



同様の本として、
★「チョコレートの真実」キャロル・オフ
80年代、アフリカの奇蹟と呼ばれ、見事な経済的成功を収めたコートジボアールが、メジャーな食料カルテルと、世界銀行、自由貿易主義の名の元に、経済を崩壊されてしまい、食料輸入国になる過程が描かれています。今の資本主義が、まるで自由競争になっていない、ちょと恐ろしい現実が描かれています。



また、アメリカ国内でも
★「ファストフードが世界を食いつくす」エリック シュローサー
読んだことのない人たちによって、マクドナルドの食べ物が危ないという本だと宣伝されてますが、巨大資本がロビー活動などにより、法律をすり抜けて、自由競争を行わず、社会を崩壊させつつあるというのが、この本の趣旨です。



さて、パラダイムシフト系のものですが、
★「時間・愛・記憶の遺伝子を求めて 生物学者シーモア・ベンザーの軌跡」ジョナサン・ワイナー
時間感覚を測るタイマー遺伝子、記憶力生み出す遺伝子、そしてsexの行動様式を決定する遺伝子などが見つかり、同じモノが人にもあることまでが証明されていきます。分子生物学が、これからの世界にどれだけ衝撃を与えるのか、ショックを受けないためにも、今のうちに読んでおくべき本です。



他に仕事関係で勉強になったなと思ったのは、
★「ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ」ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ
ウィキペディアの元ともなった、ウィキウィキはもとより、アレクサインデックス、MITのファブ・ラボ、ブロゴスフィア、ピアプロダクション、タギング、アイデアゴラ、LAMPスタック、プロシューマ、マッシュアップ、ピープルファインダーなどの真の意味を解説しつつ、その根幹に知識、経済活動そのものがピアプロダクションに移行しているという新しい世界観を提示しています。



また、最近、WEBは一種の写本文化を産み出しているのではないかと考え始めていて、比較の意味で、
★「図書館の興亡―古代アレクサンドリアから現代まで」マシュー バトルズ
も読んでみました。読んでるうちに、今のWEBと作り方が同じジャンとか、思えます。



小説では、SF作家のチャールズ・ストロスが凄かったなというのが感想です。
★「シンギュラリティ・スカイ」チャールズ・ストロス
は、魔法のような量子理論的科学が世界を変えていく過程が描かれていて、衝撃的な本でした。
まだ読んでませんが、12月に発売されたばかりの、「残虐行為記録保管所」もヒューゴー賞受賞ということで、読むのが楽しみです。



音楽SFの名作「デュオ」の飛浩隆も、
★「ラギッド・ガール―廃園の天使」
で、ちょっと恐ろしいことを始めたようです。



最後に、
★「ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く」リサ・ランドール
は、ちょうど今読んでます。
ひも理論と、M理論を、それに標準モデルを結ぶ、新しい考え方「ブレーン」についての、初の数式なしの解説書です。



明けましておめでとうございます